患者の生活実験室

白血病患者(寛解中)が能動的な患者として楽しく暮らしていくために試した諸々と、医療や身体に関する本の読書記録

【徒然】フローサイトメトリーからわかったこと

フローサイトメトリーなる解析方法があることを知った。主治医が教えてくれたのだ。

 

発病から2年半が経ち、白血病とその治療に関すること、その過程で自分に起こること、なされることはだいたい理解してきたつもりだ。しかし、わたしの知っていることなど、当然ながら氷山の一角にも満たない。

 

検査されたものの、結果を知らされていない情報もたくさんある。それは、あまりに専門的で患者が詳細を知る必要がなかったり(と医師側が判断するものだったり)、経過をみるためのもので、都度患者に知らせる必要がなかったり(と医師側が判断するものだったり)と、多くはそのような類だろう。

 

わたしにとって幸いだったのは、そのような情報であっても、時が来たらきちんと説明してくれる主治医たちに恵まれたことである。このフローサイトメトリーというのも、主治医曰く発病当初にも行っている解析だが、複雑なので当時の医師たちは説明しなかったのだろうのことだった。

 

確かに複雑で、診断直後の思考停止状態の時に説明されてもなにひとつ頭に入ってこなかったことだろう。何事にもタイミングというものがあるのだ。医師が今なら話せると判断し、また実際少しは理解できるというのは、それだけで事態が改善していることのひとつの目安であるようで安心する。

 

さて、白血病を含む血液疾患の診断には、大きく2種類ある。

・顕微鏡での細胞の形状や状態観察

・細胞内の遺伝子や染色体の解析

これらの結果を組み合わせて、最終診断がなされる。

 

わたしが正しく理解できていれば、フローサイトメトリー(flow cytometry)とは、この両方の合わせ技のような分析方法だ。細胞を一列に並べて流し、その表面に光や蛍光色素を当てることで、細胞ひとつひとつを特性ごとに分類し、計測していく。ベルトコンベアで行う、野菜の検品のようなイメージかと思う。それぞれのサイズや等級の白菜がいくつあるのか、流れ作業で自動的に分類し、最後に数を数える。そのようなものだろう。いずれにしろすごい技術だ。

 

血液疾患の場合、例えばT細胞とB細胞のどちらが多くがん化しているかで診断や治療方法が変わってくるが、顕微鏡での観察だけでは細胞数が限られるため、その多寡をそこだけで判断することはできない。そこで利用するのが、それぞれの細胞の表面に乗っている、特有の抗体だ。これを頼りにフローサイトメトリーで分類していけば、より多くの細胞を迅速に調べられる。より的確な診断と治療ができるという仕組みだ。

 

ほんとうにこの治療の裏には、いったいどれだけの知力と人力の蓄積があるのかと感嘆する。

 

今回、主治医がこのフローサイトメトリーについて説明してくれたのは、直近の骨髄検査の一環で、外部機関に出していたこの分析の結果が返ってきたからだった。発病当初のものと比較して、いずれの細胞の数も正常化していることを示すために教えてくれたのだ。

 

よかった。

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