患者の生活実験室

白血病患者(寛解中)が能動的な患者として楽しく暮らしていくために試した諸々と、医療や身体に関する本の読書記録

【本】病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか(津田篤太郎)

 

 

上橋菜穂子さんとの往復書簡『ほの暗い永久から出でて』で津田篤太郎医師の思考と教養の深さに感服し、他に著書はないかと探したところ、こちらが見つかった。

膠原病という免疫系の病気を専門とする津田医師は、西洋医学東洋医学の両刀使いだ。彼は言う。

「現代医療には何ができて、何ができないのか、まずはそれを正しく把握し、その上で、できない部分をどうカバーしていくか、どんな手段、方法があるのかを考えていくことが必要でしょう」

免疫や血液、脳といった、切った貼ったでは治らない「ネットワーク」の病気に対応するには、「原因→結果」の図式で治療をする西洋医学だけでは難しい。そのように単純化するには複雑すぎるのだ。ネットワーク全体のバランスをみていく東洋医学が向いている。

西洋医学東洋医学の両方を熟知し実践している医師が語る各々の強み・弱みは、大変説得力がある。

そこで強調されているのは、セルフモニタリングの重要性だ。以前投稿した、総合診療医を紹介する新書にも患者自身による問診チェックリストが掲載されていたことを思い出す。そちらも『原因不明の症状を読み解く』という副題だった(山中克郎著)。

こちらでは、「一般的な診察では病名がつかない、でも不調」という場合にどう東洋医学の考え方や処方が使えるかということに頁が割かれている。

いずれにせよ、患者側でできるのは、可能な限り正確に今の自身の状態を伝え、医師が的確な診断を出す手助けをするということだろう。客観的なチェックリストはその手助けとなる。受動的に診察されるのではなく、能動的であることが大切なのだ。