患者の生活実験室

白血病患者(寛解中)が能動的な患者として楽しく暮らしていくために試した諸々と、医療や身体に関する本の読書記録

【徒然】患者の学習ノート

白血病に罹患して良かったことがあるとすれば、本屋で必ず医療コーナーに寄る習慣ができたことだ。

一度治療が始まると、その過程で自分が関与できることは限られる。すなわち疑問は医師や看護師に聞いて解決し納得して進むこと、自身の状態をよく観察して彼らに伝えること、そして気力と体力を維持すること(ただし決して無理なく)。この3点だけだ。

このうち、最も千差万別なのが気力の保ち方だろう。理屈っぽい私の性には、自分の状況を正しく理解できるように努めるという方法が合っていた。それは現在も続いている。

状況の正しい理解とはどういうことだろうか。

まず、自分が罹患した病気そのものに対する理解。次に、その治療法について。さらに治療の歴史や他国の動向について。そして、白血病だけでなく血液疾患全体やがん治療全体の傾向について。患者としての自分を取り巻く環境。

幸い、主治医をはじめ私に関わってくれた医師達は私の質問を放置しない人達で、何でもきちんと向き合って説明してくれた。

彼らの話と、自分で本や論文を読んで勉強した内容を総合して理解を進めていくと、診断当初の知識ゼロ、視野が半径1cmしかなくて暗中模索さえできないような状態から、半径5mぐらいには広げていくことができる。

むろん、それを理解したところで100%の治癒なんて一部で、結局は治癒も再発も死亡も確率の問題だ。「さいころをふりつづけるしかない」と、入院中のわたしはノートに書いた。その通りだ。そうでなかったとしても、遅かれ早かれ人は死ぬ。

しかし死ぬのであれば、その理不尽さも含めて納得した上で、というのがわたしの願いであり、学習する理由なのだ。