患者の生活実験室

白血病患者(寛解中)が能動的な患者として楽しく暮らしていくために試した諸々と、医療や身体に関する本の読書記録

【徒然】無菌室で何を食べるか

わたしが入院中に聞いて戦慄した話がある。

 

ある血液疾患の患者さんが退院し、しばらく経った頃にヨーグルトを食べた。その結果ビフィズス菌に感染し、緊急搬送された。


またある患者さんは、退院してしばらくした頃に海へ行った。海水に足を浸けただけだったが細かな傷ができてしまい、そこから海中の菌が侵入して深刻な炎症を引き起こし、その方は亡くなった。

 

このような事例を数えきれないほど見聞きしてきた医師達が、患者の生活に慎重にならざるをえないのは当然のことだろう。

 

その最たるもののひとつが食事だ。

 

血液疾患患者の食事制限は厳しい。免疫が弱く、感染症にかかりやすいからだ。

 

この場合の感染症とは、インフルエンザとか、そのようなメジャーなものだけではない。健常な免疫であれば問題にならない菌であっても、大問題に発展しかねない、予測不可能なのが患者の体というものだ。

 

そのため、 血液内科のある病院ではおそらくどこでも、このような食事に関するガイドラインを作っていることと思う。どの段階で、どのようなものが食べられるかという線引きだ。(こちらはわたしのかかりつけのではないが、わかりやすいので拝借する)

http://www.med.osaka-cu.ac.jp/labmed/syokuji2014.pdf

 

このガイドラインをクリアするもののなかから、体調をみつつ、味覚障害の影響を考えつつ、食べたいと思えるものをなんとか食べていくということが患者には求められる。まあまあ至難の技だ。しかし可能なかぎり、人は口から食べて飲まなければいけない。

 

わたしはこの課題と真剣に向き合った。

 

今は宅急便なども病棟まで配達してもらえる大変ありがたい世の中なので(コロナ禍の現在ではどうなっているかわからないが)、いろいろと試すことができた。その結果、これならどんなにしんどい時でも口にできるというものがいくつか見つかった。

 

食の好みは個別的であるのを大前提にしつつ、自分がどうやって選んだか、自分にとって良かったのは何か、今後、記録に残しておこうと思う。

 

これまでも多くの患者さんがこのようなプロセスを踏み、食事の問題を乗り越えてこられたことだろう。