【本】エンド・オブ・ライフ(佐々涼子)
人が息を引き取った時、その命の閉じ方の見事さに、悲しむのではなく拍手をする。生前の勇気溢れる姿への賞賛と、次の旅路への無事を祈って、拍手で送り出す。なんという幕引きか。私もこのように終われるような人生を送りたい。
その手助けをしてくれる医師や医療チームに出会えるかどうかが、その大きな鍵だ。しかし、「患者の人生観を理解し、その人に応じた最期の時間を設けてくれる医師が、何人いるだろう」と著者は言う。
彼女は、良い医師を見分ける方法を在宅診療の医師に尋ねる。彼は答える。「その方法がないから問題なんですよ」。これは在宅医療に限ったことではない。医師を医師たらしめるものは何だろう。
自分の望むように命を閉じようとしている父の姿を目の当たりにする息子。その今際に接して彼は、「寂しいけど悲しくない。今夜はオールナイトだ」とギターをかき鳴らした。